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イタリアのDOC・IGTワイン
1716年にトスカーナ大公国のコジモⅢ世は自国のキアンティやカルミニャーノなどのワインのマガイモノが他の地方で出回るのを防ぎ、ワインの信用を譲るために、これらのワインの産地を線引きしてその地域以外の場所で同名のワインを生産することを禁止しました。このように元々の産地だけがその特定の呼称をワインに付けることができる制度を原産地呼称制度といい、このコジモⅢ世の布告は世界における原産地呼称制度のはじまりです。
地のぶどう栽培業者・ワイン醸造業者たちから申請されたワインについて、原料ぶどうの品種・ぶどうの混醸率・畑ha当りのぶどう収率・醸造方法・ぶどう1トン当りのワイン収率・ワインの特性・ワインの法定熟成期間などを審査して、そのワインの原産地呼称を公式に認定することを始めました。その際、生産条件の厳しさの度合いでワインの格が4段階に定められ、上から生産条件が最も厳しい「統制保証原産地呼称ワイン」(Vino a Denominazione di Origine Controllata e Garantita, DOCG)、条件がいくらか緩めの「統制原産呼称ワイン」(Vino a Denominazione di Origine Controllata, DOC)、イタリア国内のぶどうで造り、瓶のラベルに産地を表示するだけで販売できる「典型的産地表示付きヴィーノ・ダ・ターヴォラ」(Vino da Tavola a Indicazione Geografica Tipica, IGT)、そしてイタリア国内のぶどうで造られたワインで販売時のアルコール度が9%以上であればその他は問わないという「ヴィーノ・ダ・ターヴォラ」(Vino da Tavola)というイタリアワインのヒエラルキーができました。また、1970年代になるとEC(現EU)が域内のワインに共通の規則を発表し、イタリアもこの規則に従って国内ワイン法を調整してきました。
こうして、消費者をマガイモノから譲り、ワインの信用を維持するというこの制度は成功を収めたと言えます。しかし、近年、新興国でのワイン生産が急速に拡大して低価格のワインが世界中に広まり、EU諸国のワインの販売にも影響を及ぼすようになってきたので、EUでは2009年8月付でワイン規則を改定しました。その主な内容は、(1)現在の上級ワインの質をさらに向上させて、新興国のワインとの差を拡大すること、例えば、ぶどうの不作の際に濃縮果汁で糖度を補強するのを制限するなど、(2)価格の点で新興国のワインと競合する低品質のワインを切り捨てて、EUの補助金でぶどう畑を減反する、(3)ワインの格付やラベルの表示を簡単にして人々が理解しやすいようにすること、(4)これらの施策によってEU域内のぶどう栽培業者・ワイン生産業者の競争力を強くすること、の4点です。
このうち、イタリアワインの格付についてはまず全体を瓶のラベルにぶどうの産地が表示されていて、生産条件が厳しい「保護原産地呼称ワイン」(Vino a Denominazione di Origine Controllata Protetta, DOP)と、同じように産地が表示されているが生産条件がいくらか緩い「保護地理表示ワイン」(Vino a Indicazione Geografica Protetta, IGP)と、地域産地表示はないがイタリアのぶどうだけで造られ、販売時のアルコール度が9%以上である「ヴィーノ」(Vino)の3階級にすることなりました。従って、2009年7月までのDOCGおよびDOCワインは統合されてDOPに、IGTはIGPに、Vino da TavolaはVinoになって格付がチーズやオリーヴオイルと同じになった訳です。EUではDOPワインを「その品質と特性をその産地の特別な地理的環境に、そしてその自然的・人文的要素に負うワインで、その土地のヴィティス・ヴィニフェラ種に属する品種のぶどうを使用して、その土地で造られたものである」と定義しています。因みに、2009年8月1日現在のDOPの数は361です。



