オリーブオイルとイタリア人

イタリア人の食生活に欠かすことができないオリーヴオイルは、紀元前4~5世紀ごろに南イタリアでギリシャ人によってオリーヴの樹が栽培されたのが はじまりだと言われています。その後ローマ帝国時代に入って、栽培方法が改良されて品質が向上し、中部イタリアから北イタリアにも広がったために、食品と してのオリーヴだけでなくオリーヴオイルの使用も普及したと考えられています。また、中世にはワインの品質向上に貢献した修道院が、オリーヴの栽培を行 なってその質と量の向上に努めたと言われています。

現在、イタリアには500を超えるオリーブ品種があるといわれており、その品種の組み合わせ、収穫時の熟成度の違い、収穫技術や保存方法などによって様々な個性を持つオリーヴオイルが生まれています。日本の家庭でも随分使われるようになってきたオリーヴオイルですが、日本で販売されている半分以上はイタリア製品です。

イタリアの家庭では、サラダやパスタにかけたり、調理に使ったり、ほとんどの料理にオリーヴオイルが使われています。地方によって、また品種によって様々な味わいを持つオリーヴオイルは、是非用途によって使い分けをしてみてほしいものです。濃厚でピリッとした味わいのあるトスカーナ産をグリル料理に、やさしいリーグリア産を魚介類の味付けに、など色々試してみてください。

また、オイルは時間がたつと酸化し、風味が飛ぶものです。家庭で保存する際は光を避けられる涼しい場所を選びましょう。冷蔵庫に入れるのは低温すぎて香りがとびやすいのでお勧めできません。


イタリアのオリーヴオイルと産地

イタリアは、スペインに次ぐ116万ヘクタールでオリーヴを栽培し、年間57万トンものオリーヴオイルを生産しています。世界で一番オリーヴオイルが生産、消費されているのはヨーロッパですが、イタリアの生産量に至っては約4割をイタリアで消費しています。

オリーヴオイルはイタリア各地で生産されていますが、その7割が南部で生産されています。南イタリアの主な産地はカンパーニア、プーリア、カラブリア、シチリアの各州で、カンパニア州のものは口当たりが良くて、わずかに甘味を感じ、プーリア州のものは香り、コクが強く、カラブリア州のものは濃い色ながらフルーティ、そしてシチリア州のものは濃厚な香りのわりにはフルーティとされています。中部イタリアのオリーブオイル生産はトスカーナ、ウンブリア、ラツィオ、、アブルッツォの4州が中心ですが、中でもトスカーナ州のオリーヴオイルは色が濃く、強いフルーティな香りと、そのコクで世界的にも有名です。ウンブリア州のものとアブルッツォ州のものはともにフルーティでトスカーナ州のものに比べると、やや軽めで魚料理と野菜料理によく合うとされています。ラツィオ州のものは色調も味も濃厚で個性的です。

北イタリアではリグーリア、ロンバルディア、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアの3州が主な産地です。リグーリアのオリーヴオイルは軽くて、口当たりが良く、ロンバルディアのものも同様で共にフルーティです。

また、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアはオリーヴオイルの品種も多く生産量も多いので、その性格も多様ですが全体としてエレガントな香りがあり、口当たりもまろやかです。

なお、これらの州のほかにも本書に紹介しますように、トレンティーノ・アルト・アディジェ、エミリア・ロマーニャ両州でもオリーヴオイルを作っています。オリーヴの品種はさまざまで、500種類以上とも言われ、その組み合わせ方によってできるオリーブオイルの風味も違いますが、フラントイオ、レッチーノの品種などは全国的に使われているようで、北イタリアではこれに加えてカザリーヴァ、ドリッザールなど、中部イタリアではペンドリーノ、モライオーロ、南イタリアではモレスカ、コラティーナなどが多いようです。

例えば、フラントイオは非常に濃い緑色で、ほどよい辛味と苦味のあるオリーヴオイルを作ります。モライオーロは、オリーヴの果実の風味に富むオリーヴオイルを作り、またレッチーノとペンドリーノは、オリーヴオイルの味わいを心地よいまろやかなものにするので、これらを適当に組み合わせることによって生産者は自分のオリーヴオイルの個性を出すわけです。


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