エリオの故郷チェトラーロとおばあさんの「ロカンダ」
エリオのおばあさんはロカンダを訪れる客人の様子や顔色をさりげなく見るとこんな風に料理を勧めました。それはまるで帰省している家族に対して言うのと同じでした。 エリオのおばあさんは、戦争の厳しい時代を生き抜いてチェトラーロで13人の子を育てました。子どもたちが結婚して孫の世代が生まれ、何人かの子どもは故郷を離れましたが、主人亡き後、大家族となったオルサーラ家はおばあさんを中心に強く結ばれていました。 エリオの故郷チェトラーロの夏は、ティレニア海の美しいビーチにやってくる国内外からの観光客で賑 わいます。海岸線から内陸側を見れば、海のそばまで迫るなだらかな丘陵地の斜面にオレンジ色の瓦屋 根の家が立ち並び、その背後にはオリーブの木々が自生する山、野菜畑、ぶどう畑が広がりヤギや羊も います。海にも山にもさんさんと太陽が降り注ぐ南イタリアの町です。